【さらなる高みへ】和文英訳のテクニック
この記事の対象:英作文の鉄則を習得した上でさらに得点を積み上げたい受験生
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英作文問題の種類
入試で出題される英作文問題には大きく分けて二つあります。
①もともと日本語が与えられていて、それを英語に直す問題。
②日本語から自分で考えて、それを英語に直して解答する問題。
一般的に、①は和文英訳問題、②は自由英作文問題と呼ばれています。
①は日本語を作問者側が指定してきているので英語にするには工夫が必要な単語や、そもそもの文意をしっかり解釈しなければいけないような複雑な文章が出題されることが多いです。
②は日本語自体は自分で選べますが、その分論理の展開に注意して日本語を構成していかなければいけないという問題が発生するのが特徴です。
このようにそれぞれで特徴がありますが、今回は①の和文英訳問題でさらに得点を積み上げるためのテクニックを紹介いていきます。(前回の「英作文の鉄則」についての記事を読んでいない方は先にそちらの記事を読んでから戻ってくるようにしましょう。)
難しい名詞を動名詞やwhat節を使って言い換える
和文英訳問題では、「この名詞に対応する英語がわからない…」という名詞が出てきてしまうことが往々にしてあります。
知らない分、そのまま英語に直すことはできません。
このような時は動名詞やwhat節を使ってなんとか言い換えてやるというテクニックが有効です。
具体的には名詞を「~すること」や「~もの」というように日本語で言い換えて、英語に直すときに動名詞やwhat節を使うというやり方です。
難易度の高い和文英訳問題を出題してくることで有名な京都大学の入試を具体例に見ていきましょう。
初手から来ましたね。「生兵法」とはなんぞや?と思った方も多いと思います。
国語辞典で調べるとその意味は「十分身についていない知識や技術」らしいですが、試験中はもちろん国語辞典を見ることなどできません。
そもそも意味が分からない日本語が出てきたときには文脈でその内容を推測するようにしましょう。
さて、意味を推測できないかと模索してみると第二文では「聞きかじった知識を披露すると後で必ず痛い目にあう」という内容が書かれているので、これは「生兵法は大怪我のもと」という箇所に対応していると考えることができます。
ここまでで、「生兵法」というのは「聞きかじった知識」と同様の意味なのだと推測することができます。
次に、「聞きかじった知識」というのを言い換える必要があります。
文脈的に「少し知っている知識」と捉えることができるので、これをさらに「少し知っていること」というように言い換えて解答するのがおすすめです。なので解答の一つとしては「what you know a little」が書くことができます。
ここで、「少し知っている知識」のままそれを英語に直してもいいんじゃないか?と思った方もいらっしゃると思いますが、具体的な名詞を使う時は単数形複数形や可算名詞不可算名詞を意識しなければいけません。使おうとしている名詞について確固たる知識があれば安全ですが、中途半端に知っているだけのものなら動名詞やwhat節を使うことで回避するのがおススメです。まさに「生兵法は大怪我のもと」ということですね。
人を主語にして書くことを念頭におく
日本語というのはやっかいな言語で主語が省略されていたり、無生物が主語だったりということが多くあります。和文英訳問題で出される文章はもちろん日本語なので、こういった「主語のない文章」「無生物が主語になっている文章」に頭を悩ませたことがある受験生も多いでしょう。
このような文章を英訳するときに有効なのが「人を主語にする」というテクニックです。
具体例となる問題を見てそのテクニックを紹介いたします。
さて(1)の第一文「楽しいはずの海外旅行にもトラブルはつきものだ」からどう訳していけばいいか悩みどころですね。ここに「人を主語にする」ということを活用してみましょう。
(体験談のような語り口の文章は主語を「I」、そうでない一般論などを述べている文章は「you」を主語にするようにしましょう。)
第一文は「旅行を楽しんでいるときにトラブルに遭うことがしばしばある」ということを言っていますからここに主語を加えてやると、「あなたが海外旅行を楽しんでいる間に、あなたはトラブルに遭うことがしばしばある」というようにくどいですが英語に直しやすい文章にすることができます。これを英語に直すと「You are often in trouble while you are enjoying traveling abroad.」と解答が出来上がります。一見訳すのか厄介そうな文章でも人を主語にすることですっきりとした、尚かつ平易な文章に訳すことが可能になるのです。
「人」に関連してもう一つテクニックを紹介します。
上の問題の(2)で「愛好家」という表現が出てきていますが、ここでも言い換えによる戦法がさく裂します。
「愛好家」というのは要するに「何かを特に好んでいる人」ということなので「people who love ~」と英語で表現することができます。
このように「~な人」というのは全て「people who 動詞or be動詞」という形に落ち着かせることができるので、「人」を主語や目的語、補語にしたいがいい単語が思い浮かばないという時に有効です。頭の片隅に入れておきましょう。
今回は和文英訳問題で有効なテクニックについて紹介してきました。次回は自由英作文対策の記事となります。志望校の問題に自由英作文が含まれる受験生は必ず読むようにしましょう!