大学受験の面接では「挫折経験」を尋ねられることがあります。
これは単なる失敗談ではなく、人間性や成長の過程を知るための重要な質問です。
本記事では、面接官に響く挫折経験の伝え方や、構成のコツ、NG例まで具体的に解説します。
「挫折した経験がない」とお悩みの方用の回答例とあわせて、ぜひご覧ください。
目次
はじめに:なぜ大学受験で「挫折経験」を聞かれるのか?
挫折経験に関する問いは、全体を通してその人となりや価値観、大学への適性や将来性を見るものです。
面接官が挫折経験から知ろうとしていることを、大きく3つに分けて紹介します。
- 困難への向き合い方
- 自己分析力と学び・成長する力
- ストレス耐性・精神的回復力
問われている要素を知ることで、効果的な回答に繋がります。
挫折経験からわかること1.困難への向き合い方
面接官が知りたいのは、困難に直面したときにあなたがどう行動するかです。
- 問題から逃げずに向き合ったか:主体性
- 粘り強く取り組んだか:継続力
- 状況を打開するためにどう工夫したか:課題解決能力
大学生活でのさまざまな困難に対して、原因を分析し行動を起こせるか、自ら考え行動できる人物かを見ています。
挫折経験からわかること2.自己分析力と学び・成長する力
経験そのものより、そこから何を学び、どう成長したかが重視されます。
自分の弱さや失敗原因を客観的に分析できているか、反省を次に活かそうとしているか。
挫折経験から学んだことを、自分の頭や言葉で整理できるかが評価ポイントです。
挫折から謙虚に学び、成長し続けられる人材かを見極めようとしています。
挫折経験からわかること3.ストレス耐性・精神的回復力
挫折による精神的な負担にどう対処したかも見られています。
プレッシャーに耐えるストレス耐性や、落ち込んだ状態から立ち直る精神的回復力は、大学生活や社会で求められる力のひとつです。
失敗しても気持ちを切り替え、次の目標に向かった経験があるかどうかが、その指標となるでしょう。
効果的な挫折経験のエピソードを見つける(大学受験)
挫折経験と言っても、何か大きな失敗である必要はありません。
本章では効果的な挫折経験の探し方を、具体例を挙げながら解説します。
- 勉強面での経験から探す
- 活動面での経験から探す
- 人間関係での経験から探す
挫折経験のエピソードに悩んでいる方は、それぞれの観点で振り返ってみてはいかがでしょうか。
挫折経験の例1.勉強面での経験
勉強面での挫折は受験生にとって身近なもので、以下のようなケースがあります。
- 模試でE判定を取ってしまい、志望校合格が絶望的に思えた
- 苦手科目が克服できず、勉強が嫌になった
- 必死に勉強したが第一志望校に不合格となった
成績が上がった、合格したという結果だけでなく、その過程での試行錯誤や精神的な葛藤、得られた教訓が重要です。
挫折経験の例2.活動面での経験
部活動、生徒会活動、委員会活動、ボランティア活動、アルバイトなど、学業以外の活動での挫折経験も効果的です。
- 部活動でレギュラーになれなかった、目標としていた大会に出場できなかった
- 文化祭や体育祭などのイベント準備で、意見がまとまらず計画が頓挫しかけた
- アルバイトで大きなミスをした
こうした経験を通して、目標達成への意欲、チームワークの重要性やリーダーシップ、問題解決能力などをアピールできます。
挫折経験の例3.人間関係での経験
友人やクラスメイト、部活動の仲間、先生、アルバイト先の同僚など、人との関わりの中で困難を感じる場面もあるでしょう。
- 親しい友人との意見の対立や誤解から関係が悪化した
- グループワークでメンバーと協力できず、うまく進められなかった
- リーダーとメンバーの間で板挟みになり苦労した
人間関係での挫折と学びは、コミュニケーション能力や傾聴力、多様な価値観を受け入れる力を示すことができます。
大学受験面接で語る挫折経験を選ぶポイント
挫折経験の候補が見つかったら、次は面接で語るのにより効果的なエピソードを選びます。
語りたい挫折経験に、以下3つの観点が含まれているか確認してみましょう。
- 挫折からの学び・成長が明確か
- 挫折経験を具体的に語れるか
- 挫折経験から大学での学びに繋げられるか
これらを満たすエピソードなら、一度挫折した経験が強力な自己PRになります。
ポイント1.挫折からの学び・成長が明確である
もっとも重要なことは、その経験から何を学び、どう成長できたかを明確に語れることです。
「辛かった」だけでなく、具体的な学びや行動の変化を述べられるエピソードを選びましょう。
「計画性が重要だと知り、スケジュール管理を徹底するようになった」など、今の自分に繋がる影響を説明できるかが鍵です。
ポイント2.挫折経験を具体的に語れる
面接官に経験をリアルに伝えるには、具体性が不可欠です。
「頑張った」だけでは伝わらないので、当時の状況や課題、取った行動や工夫を、イメージが浮かぶように説明できるエピソードを選びましょう。
「苦手克服のため、毎日教科書の例題を3周解いた」のように、具体的な行動や数字を交えると説得力が増します。
ポイント3.挫折経験から大学での学びに繋げられる
経験から得た学びや成長が、入学後の大学での学びにどう活かせるかを示せると評価が高まります。
「培った粘り強さで、難しい研究にも挑戦したい」「多様な意見をまとめた経験をグループワークで活かしたい」など、大学生活をイメージして繋げると効果的。
志望大学のアドミッションポリシーやカリキュラムを調べ、自分の経験と結びつけることで、入学への熱意を効果的に伝えられます。
面接官に響く挫折経験の伝え方や基本構成(大学受験)
どれだけ良い経験でも、伝え方次第で印象が大きく変わります。
基本的な構成を押さえて、説得力のある伝え方を目指しましょう。
- 結論ファーストでわかりやすく書く
- おすすめの構成は「STAR法」
- 「大学での学びにどう活かせるか」で締める
挫折経験を伝える際のポイントとあわせて、ご覧ください。
挫折経験を語る構成例1.結論ファーストでわかりやすく
まず、「私の挫折経験は〇〇です」と結論から話しましょう。
面接官が話のテーマをすぐに理解でき、その後の説明もスムーズに受け止められます。
「高2のサッカー部でレギュラー選考に落ちたことです」のように、いつ、どのような経験かを具体的に示します。
結論を先に示すことで、話の軸がぶれにくくなるのでおすすめです。
挫折経験を語る構成例2.おすすめはSTAR法
経験を論理的に伝えるには「STAR法」が有効です。
- S(Situation=状況):いつ、どのような状況か
- T(Task=課題・目標):何が困難だったか、目標は何か
- A(Action=行動):どう考え、行動したか
- R(Result=結果):結果どうなったか、何を学んだか
状況→課題→行動→結果→学びの流れで整理すると、過不足なくわかりやすく伝えられるので、自分の経験をこの型で書き出してみてください。
挫折経験を語る構成例3.大学での学びにどう活かせるか繋げる
話の締めくくりに、経験から得た学びを大学での学びにどう活かすかを述べましょう。
未来への意欲や大学への貢献意欲など、入学後の展望を示すことで、熱意が伝わりポジティブな印象を残せます。
大切なことは「得たスキルや考え方の変化を言語化できる」こと
重要なことは、経験を通してどのようなスキルや考え方の変化があったかを言語化することです。
「頑張る大切さを学んだ」だけでなく、「計画を立て実行する力が身についた」「多様な意見を尊重し合意形成を図る力が向上した」など、明確に説明するのがポイント。
言語化ができるかで、自己分析の深さや経験から学ぶ力が伝わります。
【NG例】大学受験の面接で避けたい、評価を下げてしまう挫折経験とは
挫折経験は、伝え方によってはかえってマイナス評価に繋がってしまう危険性も。
「この学生はちょっと…」と思われないためにも、避けるべきNGな伝え方を事前に知っておきましょう。
- NG例1.他責思考で周りや環境のせいにする
- NG例2.抽象的で具体性に欠ける
- NG例3.ネガティブすぎる・同情を誘う内容
該当する項目があった場合は、違う伝え方にできないか調整してみてください。
挫折経験のNG例1.他責思考で周りや環境のせいにする
「先生の教え方が悪かった」「チームメイトが協力しなかった」など、失敗の原因を自分以外のせいにするのは避けましょう。
主体性がない・反省できない人物と見られます。
外的要因があったとしても、まずは自分に原因や改善点はなかったかを振り返る姿勢が重要です。
挫折経験のNG例2.抽象的で具体性に欠ける
具体性に欠ける話は、自己分析不足・コミュニケーション能力不足と捉えられかねません。
STAR法などを活用し、具体的な状況や行動、結果、学びを伝えましょう。
挫折経験のNG例3.ネガティブすぎる・同情を誘う内容
必要以上にネガティブになったり、暗い雰囲気になったりしないよう注意しましょう。
面接官は前向きな姿勢を知りたいのであり、可哀想な話を聞きたいわけではありません。
挫折の辛さより、立ち直り学んだポジティブな側面に焦点を当てましょう。
「特に挫折経験がない」と悩む場合の考え方と回答例(大学受験)
「これまでの人生で、大きな失敗や挫折をした記憶がない」という方もいるでしょう。
本章では、特に挫折経験がないと感じる方向けに、対処法と回答例を紹介します。
- 挫折経験がないと答えた場合のリスクはある?
- 「困難に立ち向かった経験を述べる」例
- 大きな挫折経験がないことを「ポジティブに分析・説明する」例
分析の仕方・伝え方によっては、十分なアピールポイントとなります。
挫折経験がないと答えた場合のリスクはある?
誰でも努力の過程で何らかの壁にぶつかるものです。
挫折経験がないと答えると、それに気づけていない・あるいは挑戦を避けてきたと見なされるかもしれません。
自己PRの機会を失うリスクもあるため、「ない」と断言するのは避けましょう。
回答例1.挫折経験ではなく「困難に立ち向かった例」を述べる
挫折という言葉にこだわらず、「目標達成のために困難に立ち向かった経験」や「苦手なことに挑戦し乗り越えた経験」を探しましょう。
自分なりに壁を感じ、努力した経験なら十分です。
苦手でも努力すれば克服できること、周囲の助けの大切さを学んだことが伝わる経験などがおすすめです。
回答例2.大きな挫折経験がないことをポジティブに分析・説明する
もし挫折がなかったのが自身の計画性や準備力によるものなら、それを強みとして伝えるのもひとつの案です。
具体的な計画やリスク管理の事例を交えると説得力が増します。
ポジティブシンキングな一面をアピールするのも良いですが、楽観的すぎると捉えられないように、どのような思考や工夫で向き合ってきたのかを述べてください。
挫折経験は自己PRのチャンス!学びに変えて大学受験を勝ち抜こう
大学受験の面接で問われる「挫折経験」は、あなたの人間的な深みや、困難を乗り越えて成長できる力をアピールする絶好のチャンスです。
大切なことは経験の大小ではなく、経験に真剣に向き合い何を学び取ったかを、自分の言葉で語ることです。
本記事で紹介したコツをもとに、これまでの経験を整理してみてください。
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